子供の眼活

子供たちの視力低下

近年、仮性近視や斜視、弱視の子供たちが急増しています。これは現代の食生活と生活環境が劇的に変わったことが理由だと考えています。身体機能に余力がない状態での、長時間の目の酷使や睡眠不足は、眼球組織の弾力を低下させ、適切に発達させることができなくなります。見えない目は矯正して視力を確保する、というのが一般的な流れですが、視機能の土台から立て直すのが漢方的アプローチの特徴です。

妊娠・出産・授乳期の栄養状態

母親と父親の栄養状態や生活習慣が、卵子や精子の遺伝子に影響を与えることはよく知られています。現代人の食生活では十分すぎるほどのカロリーが摂れているにもかかわらず、肝心の微量栄養素が欠乏しています。神経やホルモンの成長にかかわる微量元素の慢性的な不足は、母親と父親の体の性能を低下させてしまっています。
胎児の視機能は妊娠後期(特に最後の1カ月)に高度に発達しているので、もし母親の栄養状態が悪く、妊娠後期まで体力が持たないことが原因で早産となった場合には、産後の胎児の視機能は著しく低い状態からスタートすることになります。よしんば妊娠期間が通常であったとしても、母親の栄養状態が悪いと胎児の成長は遅延します。
さらに近年は2,500g以下の低体重出生児が激増している上に、40%を超える母親が母乳哺育を実践できていません。妊娠前からの父母の体づくりが子供の目の健康にも影響しているのです。

成長期の栄養状態

成長期の子供の身体機能は急速に発達しています。目は脳の出先機関ですので、眼球と脳をつなぐ視神経回路も生まれてから急速に構築されていきます。ちなみに脳細胞のタンパク合成能は通常の細胞の600倍ともいわれており、神経の構築と維持にはそれだけのエネルギーと栄養素が必要不可欠なのです。特に成長期の子供は、脳の発達だけでなく、内臓や骨格なども急速に発達させる必要があるため、たくさんの栄養素が必要です。そのような大事な時期に、摂るべき栄養素が不足していると、本来構築しておくべき組織の発達が遅れたり止まったりしてしまいます。また、眼球も脳も膨大な量の毛細血管で構成されており、栄養や酸素をのびのびと隅々に届けることが欠かせません。成長期に十分な栄養でしっかりと発達させることは、その子にとってかけがえのない将来の財産になるのです。

生活環境

適切に目を発達させるためには、視機能をまんべんなく使用してあげる必要があります。現代人は長時間にわたり、近い距離のものを見続けることが多くなっています。
子供たちも、野山を見ることがほとんどなくなり、テレビやパソコン、スマートフォンやタブレット端末の画面を見ている時間が多くなりました。生活の中で視点の移動も少なくて済むので、私たちは本来持っている視機能を余すところなく使っているとはいいがたい状況です。偏った目の使い方にならないよう、気を付けて子供の成長を見守りたいものです。

目も臓器

眼球はただのレンズではありません。弾力を持った生体組織で、70年、80年と使い続けるために、多少の傷や劣化も日々修復している立派な臓器なのです。解剖学的に見ても目につながっている血管は内頚動脈から枝分かれした眼動脈で、眼球や視神経に栄養や水分、酸素を常時届けています。つまり目の健康度はほかの臓器の健康とも密接な関係があるのです。

目も臓器

昔から東洋医学では目と他の臓器との関係が研究されてきました。特に肝臓や腎臓の機能低下が起こると、目に栄養や潤いをのびのびと届けられなくなるので視機能が低下することが付き止められています。
現代医学の眼科領域は、病変部位の処置に優れていますが、病変がない場合、機能向上に向けてのアプローチを持ちません。そもそもエネルギーがうまく廻せなくて視機能に余裕がなくなったために、眼球の機能低下や病変が起こっているにもかかわらず、眼球を処置するだけでは片手落ちです。結果を変えるだけでなく、原因を改善しなければなりません。ですから患者側が、体の中から視機能を立て直していくんだという意識を持たなければなりません。本当に目の健康を取り戻したいのであれば、何でも「おまかせ」ではだめで、自分でできる日々の体づくりに取り組むことがとても大切なのです。

仮性近視