さまざまな漢方 更年期相談

さまざまな漢方

現代医療は、病変を発見して除去するのは得意です。ところがその背景・原因を改善するアプローチに関しては不得手なようです。つまり応急処置はするけれども治るのは本人の回復力次第という場合が多いのです。そんな時に役立つのが漢方のアプローチ法です。症状は同じように見えても、その原因や背景が違うことはよくあります。 症状を消すための処置だけでなく、体全体を整える漢方の知恵を役立ててより健康になってください。

さまざまな原因

例を挙げると、漢方では次のような体の状態を整えることができます。

亢進している場合
自律神経や脳の興奮などによって体の働きが亢進しすぎると熱感やのぼせ、ほてり、炎症などが出てきます。
不足している場合
人体にとって必要不可欠な要素が不足すると、体の働きが低下して、食欲がなく力が出なくなったり、疲れやすくなったりします。
怠けている場合
身体の働きや循環がうまく行われないと、内臓機能や筋肉・関節の働きに異常が起きます。
滞りがある場合
体内をめぐっている様々な要素が滞ると、水分代謝や血行が悪くなり、重だるい、やる気が出ないなどの症状が出ます。
老化による不調
体内の物質や機能が消耗し、過敏になったり無力感が出たりします。

漢方で改善していくことができるものの一部を挙げました。漢方には2000年の長い歴史があります。その中で積み重ねられてきた経験から、人間が一生のうちに直面する様々な不調に対するアプローチ法が漢方には存在します。
じっくりと状態を伺い、季節や環境、性別、年齢、そして体格や性格なども考慮して選びだされる漢方薬は、一人一人に合わせた、いわばオーダーメイドの医療と言えます。

クスリを飲んで症状が一時的に消えてもまた同じような症状が出てきたり、次から次に飲まないといけないクスリが増えている方は、もしかしたら身体全体が病気に傾いているのかもしれません。そんな時こそ漢方にできることがあります。
また漢方薬には、老化を防いだり、体質を強くしたり、健康な方がより健康になるためのアプローチ法があります。
「あなたのカラダは、あなたの命のいれもの」です。漢方を知って、そして利用して、ぜひあなたの命をもっともっと輝かせてください。

さまざまな健康の悩み

自律神経失調症・更年期障害

人間の体は、頭で考えなくても、生きるためにいつもバランスを取っています。それは、アクセル(亢進)とブレーキ(抑制)に例えられます。やじろべえを思い浮かべてもいいでしょう。どちらか一方に傾いても、元に戻そうとする力が働きます。これがうまく働かず、元に戻せない状態が、自律神経失調症です。更年期には特にこのバランスが崩れやすく、様々な症状が出ることがあります。
不眠や多汗、イライラなどの精神症状だけでなく、めまい、耳鳴り、便秘頭痛、疲れやすいといった肉体的な不調がありますが、表面に現れている症状ひとつひとつにクスリを当てはめて使っても、もとから立て直さない限りなかなか良くなりません。
独楽は高速で回転しているときは、遠心力と求心力がつりあいを保って安定していますが、回転数が落ちてくると、フラフラしてしまいます。漢方では復元力をつけながらバランスを整えて回復へと導きます。

女性の美容と健康

(貧血、冷え症、冷房病、バセドウ病、主婦湿疹、子宮発育不全、生理痛、子宮後屈症、月経過多、慢性子宮内膜炎、子宮筋腫、不妊症、膣炎)
女性の美容や健康にとって、漢方ほど役に立つものはありません。貧血や冷え性、むくみ、バセドウ病、シミ(肝斑)、生理痛に便秘、慢性頭痛など、これらの体質改善は漢方的なアプローチ法なしでは雲をつかむようなものです。
例えば、血が足りないのか滞っているのか、元気が出せないのか、それとものぼせているのか、水はけが悪いのか潤いが足りないのかなど…、このようなことを見つけ出して捉え、体内のバランスを整えていくと、自然と巡り始めます。そしていい状態を続けることで、少しずつ体質が良くなり、薬が要らなくなっていくのです。
年齢や季節、月経周期によっても体調が刻々と変化する女性は、男性と比べて、体調の復元力を多く必要とします。体調に余裕ができ健康体になれば、血色や肌の張り、髪や爪の艶も出て、あなたの美しさが引き出され、より輝けるでしょう。

老化

(前立腺肥大、老人性糖尿病、夜間頻尿、足腰無力、骨粗鬆症)
若いときにどんなに元気でも、年を重ねていくと、身体のあらゆる機能が低下していきます。視力・聴力は低下し、物忘れが出てきて、皮膚は艶を失い乾燥して白い粉をふき、腰から下の筋力が弱って、動作が鈍くなりヨタヨタすることも。食事は入るが大便に時間がかかり、小便が出にくい時もあれば、くしゃみで漏れることもあり、夜には何度もおしっこで起きて、満足な睡眠がとれない…、こういった体の弱りにもやはり漢方が役に立ちます。

老化とともに、細胞が持つ「潤いを保つ力(保水力)」が失われてしまい、組織の弾力が低下します。パサパサしてハリが失われ、支える力がなくなります。

虚弱体質(弱い子を持つ親のために)

カン(癇)の強い子、疲れやすい子、熱の出やすい子、湿疹体質、風邪をひきやすい子、小児喘息、扁桃炎、扁桃肥大、アデノイド、脱腸、夜尿症、起立性失調症、チック症)
小児は精神も肉体も急速に発育していますが、体が弱いと様々な症状を起こしてしまいます。成長とともに体も丈夫になって自然と治る場合もありますが、近年は、治りが悪く青年期や大人になるまで引きずっている方もおられます。体質や食生活の問題もありますから、早めに改善に取り組むことが大事です。

成人病(生活習慣病)の予防と治療

中年になって体力の衰えを感じると、もっと栄養のあるものを食べて、元気をつけようと考えがちですが、ここに生活習慣病という大きな落とし穴がポッカリと口を開けて待っています。
人間、四十を過ぎても精神の働きは衰えませんが、いかんせん、体力だけでなく胃腸や肝臓などの内臓の力も低下してくるので、体力保持のためにと、口から詰め込めばそのまま栄養になるという単純なものではありません。
また、たとえそれが消化吸収され人体のエネルギー源として消費されたとしても、体の中にできる代謝産物を、働きの低下してきた肝臓や腎臓が苦労して体の外に出さなければならないわけで、これを考えると、身体に大切な食事だといっても、量を過ごさないように平常からの節度が大切となってきます。
漢方薬にはいわゆる「からだの大掃除」をするものがあります。肥満の糖尿病に効く漢方薬、高血圧症に効く漢方薬、痛風体質を治す漢方薬などがあるのでこれらをうまく利用しながら、生活習慣を改善すると、厄介な全身病も体質から改善していくことができます。

がん・炎症体質

腫瘍は組織の新陳代謝が正常に行われていないために発生します。細胞の酸欠が続くとエネルギーが十分に生み出せなくなり、正常な代謝が行えなくなります。だからと言って勝手に細胞が次々と死んでいってもらっては困ります。組織の崩壊を回避するために、省エネモードのスイッチが入るのがガン化への第一歩だと考えられています。カラダはどんな場面でも、何とか命を生かすために頑張っていますし、そのための仕組みも持っています。ガン化も必要悪な生命維持システムだと思われます。
また、新陳代謝の低下している場所では、慢性的に軽い炎症が続いていて、その慢性炎症が組織の病変を後押ししているということも分かってきました。
現代医学の治療では、病変した組織をどう除去するかという応急処置を中心に考えられています。そこで適用されているのがいわゆる三大療法「手術・放射線・抗がん剤」です。
一方、漢方が得意なのは、腫瘍が発生している原因や背景を改善することです。もちろん炎症体質を改善したり、腫瘍を柔らかくしたり、組織の弾力を改善させる漢方薬もありますので、生活習慣の改善とともに、漢方的なアプローチを併用されるといいでしょう。