大人の眼活
ドライアイ
目の表面が乾いてしまう「ドライアイ」は、症状として、目の乾燥感だけでなく、かすんで見えたり、ザラつきやゴロゴロとした異物感、灼熱感などがあります。
乾燥した目は、目の表面に障害(傷)がつきやすくなり、慢性化すると、目の表面がごわごわになり、角膜や結膜が欠損する可能性もあります。
とにかく不快感があって目も疲れやすいとなれば、ドライアイを疑ってみて下さい。
ドライアイの原因は涙の分泌不足が大きいのですが、それだけではありません。それはあくまでも結果であって、原因ではないからです。
そもそも涙は血液から作られます。涙の量や質が低下してしまうのは眼球周辺の血行不良をはじめ、体の内側に原因があるのです。
病院での治療法としては、まず人工涙液やヒアルロン酸を点眼します。自己血清点眼法を行うこともあります。これらは涙の替わりを補う処置です。
また、少ない涙をできるだけ目の表面に留めるために、涙の出口を塞いでしまう涙点プラグの装着や涙点の閉塞なども行われます。濡れガーゼマスクを当てて眠る治療法で、潤いを保つという方法もあります。
ドライアイにこそ漢方が役立つ
しかし、上記の方法は治療というより、一時的な処置で、言ってみればすべて対症療法です。つまり根本的な治療法は西洋医学の範疇にはないのが現状です。ドライアイこそ東洋医学の知恵が大いに役に立つ病態といえるでしょう。
慢性的なドライアイの患者さんは、血液に力がありません。つまり角膜に栄養を運ぶ涙液にも力がない状態です。涙腺においてちゃんとした涙液が作られるためにはそこに運ばれている血液そのもの、ひいては全身状態に目を向けなければならないのです。
また、多くのドライアイの患者さんは、「体表面にうるおいを保つ力」が足りません。ですから、中には肌やのど、口の中、鼻まで乾燥する方もおられるのです。「体表面の乾燥」を解決するのも東洋医学の得意な部分です。
当然のことながら、「乾燥体質」がある程度回復し、角膜に余裕ができるまでは症状が続きますから、乾燥した環境を避け、加湿器を利用したり、コンタクトレンズ、喫煙を避けることも考えるべきでしょう。もちろん日々の生活習慣の改善も大切ですし、良い生活習慣は再発の予防になります。
ぶどう膜炎
「ぶどう膜炎」とは、眼の中の虹彩、毛様体、脈絡膜からなる、非常に血管の多い組織「ぶどう膜」に炎症が起こる病気です。「ぶどう膜」だけではなく、その周辺で脈絡膜に隣接する網膜や、眼の外側の壁となっている強膜にも炎症が起こる場合も多々あります。つまり目の中に炎症を起こす病気の総称なのです。
このようなことから、「内眼炎」とも呼ばれ、その原因はさまざまで、失明に至る重症なものもあります。
ぶどう膜炎の病態と症状
ぶどう膜炎は、目の中におこる炎症です。
虹彩、毛様体、脈絡膜からなる「ぶどう膜」は、無数の血管が張り巡らされていて、網膜に栄養を届けたり、房水を作り出したり、老廃物を運び去ったりします。栄養交換の一番最先端の場所とも言えます。
この部分が炎症をおこすのですから大変です。症状はさまざまで、まぶしく感じる、目が痛む、かすんで見える、充血を起こす、歪んで見えるなどがあります。もちろん視力は低下したり、繰り返すと失明の危険性もあります。
また度重なる炎症は、微細組織を癒着させることにつながり、そうなると目の機能は格段に落ちます。ちなみにこの病気は片眼のみのこともあれば、両眼に起こる場合もあります。
からだの表面の病気は早く治りますが、からだの中の病気はなかなか良くならないように、ぶどう膜炎は目の中の病気ですから数日から数週で治ることは少なく、数か月から数年、病気の状態によっては、持病として一生付き合っていく覚悟の方も多いと言われています。
ぶどう膜炎の主な原因
病原菌(細菌・ウィルス・寄生虫など)による感染性のもの、免疫異常によるものなどがありますが、30~40%は原因不明とされています。日本では「ベーチェット病」「サルコイドーシス」「原田病」が全体の40%を占め、3大ぶどう膜炎と呼ばれています。
そのうち、「ベーチェット病」「サルコイドーシス」は厚生労働省により特定疾患に認定されています。
西洋医学的治療
治療の大部分はステロイド薬で炎症を止める方法です。点眼や注射、内服、点滴などがあります。免疫抑制剤を使うこともよくあります。
ただし、こういったステロイド薬の副作用には、眼圧上昇、血圧上昇、高血糖、胃腸の不調、骨粗鬆症、感染症にかかりやすい、大腿骨骨頭壊死などがあるので、長期使用や多量投与には注意が必要でしょう。
漢方的アプローチ
ぶどう膜炎は、血管の病気、いわゆる全身病です。症状が目にしか現れていないときでも、実は、カラダの中に隠れた慢性炎症がある場合が多いのです。
局所的に炎症を鎮める現代医学のアプローチに対して、東洋医学ではカラダの奥に働きかけ、不要な炎症や興奮状態を取り除いたり、のぼせを下げたりと、深いところから体を立て直すので、症状が慢性化している場合は特に有効です。
また、症状が現れる場所はその人が一番酷使している部分や弱いところです。目に出ていなければ、唇や舌、のどや胃腸をはじめその他の部分に出ていたかもしれません。
日々の予防や体づくりにも目を向けて、総合的に炎症体質を改善していきましょう。